資金決済法の改正について - KWM

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2020年6月5日に成立した「金融サービスの利用者の利便の向上及び保護を図るための金融商品の販売等に関する法律等の一部を改正する法律」(令和2年法律第50号)によって、「資金決済に関する法律」(平成21年法律第59号)(以下「法」といいます。)が改正され、本年5月1日に改正後の法が施行されました。

これにより、①資金移動業に係る制度整備、②利用者資金の保全規制等の変更、③収納代行への対応が行われました。ここでは、主な改正内容についておさらいします。

(1)     資金移動業に係る制度整備

改正後の法により、送金額やリスクに応じた規制を行うべく、以前は1種類しかなかった資金移動業者が3種類に区分されました。

分類

送金額

許認可

第一種資金移動業

(法36条の2第1項)

上限なし

(法36条の2第1項)

認可制

(法40条の2)

第二種資金移動業

(法36条の2第2項)

1回あたり100万円以下

(法36条の2第2項・法施行令12条の2第1項)

登録制

(法37条以下)

第三種資金移動業

(法36条の2第3項)

1回あたり5万円以下

(法36条の2第3項・法施行令12条の2第2項)

登録制

(法37条以下)

※   改正前の資金決済法において資金移動業の登録を受けた事業者は、法附則7条により、第二種資金移動業の登録を受けた者とみなされました。

※   2021年9月30日現在で、第一種資金移動業・第三種資金移動業を営む事業者は、存在しないようです。 https://www.fsa.go.jp/menkyo/menkyoj/shikin_idou.pdf

(2)     利用者資金の保全規制等の変更

改正後の法において、上記3種類に対応する形で、利用者保護のさらなる向上や事業者の規制対応コストの削減の観点から利用者資金の保全規制等につき、改正がなされました。 

分類

利用資金の保全規制等

第一種資金移動業

移動する資金の額、資金を移動する日、移動先等について具体的な送金指示を伴わない資金を受け入れること、資金移動に必要とされる期間を超えて資金を滞留させることが禁止されています(法51条の2)。

第二種資金移動業

資金の滞留を防止するため、利用者から受け入れる資金のうち為替取引に用いることがないと認められるものを保有しないための必要な措置を講ずること等が求められています(法51条・改正資金移動業に関する内閣府令30条の2)。

第三種資金移動業

内閣総理大臣に届出を行えば、従前より認められている供託、保証、信託による資金保全方法に代えて、分別した預金で管理することが認められています(法45条の2第1項)。ただし、分別した預金の管理状況について、外部監査が義務付けられています(法45条の2第2項)。

(3)     収納代行への対応

  収納代行とは、債権者の委託を受け、債務者から代金を回収する事業のことをいいます。改正後の法は、近年登場した「収納代行」と称しつつ、実質的には一般利用者間の送金を行うサービスを提供する事業者について、利用者保護の観点から、「為替取引」に該当するとし、資金移動業登録を行うことを明確化しました(法2条の2)。ここで、「為替取引」に該当するものとして資金移動業登録が必要となることが明確化されたのは、「割り勘アプリ」などの実質的に一般利用者間の送金サービスになっているものです。宅配業者の代金引換やコンビニの収納代行、エスクローサービス等は従来どおり規制対象外となっています。

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