近年、コロナ禍とマクロ経済の影響を受けて中国経済の低迷が続く中、多くの企業が市場需要の縮小、コストの上昇、サプライチェーンの阻害という苦境と直面している。市場で生き残るためにはコスト削減も喫緊の課題の1つとなっており、「人員削減」を検討する企業が少なくない。他方、人員削減は多くの従業員に関わるため、その対応において少しでも不注意な点があれば、大規模な労使紛争を惹起しかねない。本稿は、実務的な観点から、企業における人員削減のコンプライアンスに焦点を当て、法律の枠組みの下でどのように労働関係を解消するか、その参考を供するものとしたい。
I. 人員削減の方法
「リストラ」の事例は身近なところで頻繁に発生し、その言葉の意味は広く認識されている。一方、労働法という専門的な観点からみれば、報道で使われる「リストラ」という言葉は、特定の法的概念ではなく、企業が従業員との労働契約を解除又は終了させ、人件費の抑制という目的を達成するために複数の手段を総合的に用いて短期間で大量の人員を削減することを指す。
中国の現行の労働法や関連法令によると、労働契約を解除する方法には、「使用者と労働者の協議による合意解除」、「労働者による一方的な解除」、「使用者による一方的な解除」が含まれる。これらのうち、「使用者による一方的な解除」については、「過失による解除(懲戒解雇など)」、「無過失の解除(客観的な状況に重大な変化が生じた場合の解除など)」、及び「整理解雇」に分けることができる。このほか、労働契約の期間満了や使用者の解散などの法定事由により、労働契約は終了されうる。
昨今の人員削減の実務においては、労働者との協議による合意解除の方法を採用するケースが最も多い。しかし、労働契約を合意解除するためには当然に従業員の同意を得なければならないため、従業員が同意しない場合においても人員削減の目的を達成できるように、企業は代替案も同時に検討しておく必要がある。代替案として、労働契約の期間満了、会社の解散、支社の廃止などの労働契約終了の法定事由がある場合には、かかる方法を選択するのが一般的である。このほか、最もよく検討される方法は、客観的な状況に重大な変化が生じたことによる労働契約の解除と整理解雇という2つの方法である。
労働契約の解除又は終了には複数の方法があるが、方法ごとにそれを適用しうる状況や手順の要件などが異なる。このため、企業が人員削減の具体的な方法を選択する際には、各方法の実施の要点を明確にしたうえで、企業及び対象となる従業員の実際の状況に応じて相応の計画を策定し、企業又は従業員の権利・利益の不平等や不要な紛争が生じないよう注意する必要がある。
以下、「協議による労働契約の合意解除」、「客観的な状況の重大な変化による労働契約の解除」及び「整理解雇」の3つの方法について、その実施の要点をそれぞれ紹介する。
II. 3つの人員削減方法と実施の要点
1. 協議による労働契約の合意解除
協議による労働契約の合意解除(以下単に「合意解除」という)は、人員削減にあたり企業が往々にして優先的に選択する方法であるが、他の方法と比較して次に掲げる利点がある。
まず、合意解除は安全性が高い。公法と私法の属性を兼ね備えた労働法の枠組みの下、現行の労働法関連法令は一定の範囲内で労働者と使用者に自治の余地を与えている。「労働紛争事件の審理における法律適用の問題に関する最高人民法院の解釈(一)」(法釈〔2020〕26号、以下「最高院解釈」という)35条は、「労働者と使用者は、労働契約の解除又は終了に関する手続を行い、賃金報酬、残業代、経済補償金又は賠償金などの支払について合意し、これらが法律、行政法規の強制規定に違反せず、詐欺、脅迫、又は当事者の弱みにつけ込むものでない場合には有効とみなさなければならない」と定めている。これを受けて、労働関係にある双方が労働契約解除に合意すれば双方にその法的拘束力が及び、現在の司法実務において、紛争発生の可能性は極めて低くなったと考えられる。
次に、合意解除は適用範囲が広い。その適用対象は基本的に制限されず、従業員が「労働契約法」42条の「高齢・弱者・病人・障害者・妊婦」に該当し、無過失の解除、整理解雇と契約の期間満了の事由の適用対象外であったとしても、双方が協議により合意した場合、使用者は依然としてこれら従業員との労働契約を解除することができる。当然に、実務においては、公平性と従業員への人道的な配慮という面から、特殊な事情のある従業員については追加の補償案を策定するのが一般的である。
(1)事前準備
現行の法律は、合意解除に関する必須手続を設けていないものの、確実かつ効率的な実施という観点から、企業においては、実施を前に全体計画の策定、経済補償金の試算、作業チームの結成、関係書類の作成など、多方面から入念な準備をしておくことが推奨される。
全体計画の策定においては、人員削減の対象と大まかな実施スケジュールを確定させる必要がある。時間の許す限り、労働分野に関するデューデリジェンスを行い、これまでの労働管理上で考えられうる問題点を整理のうえ人員削減の作業に与えうる影響を判断し、相応の対策を検討することが望まれる。また、人員削減が生産活動や経営活動に与えうる影響を評価し、事前に対策を立てる必要がある。
経済補償金の試算は、人員削減の予算の策定及び従業員との交渉において必要不可欠である。法に基づく正確な試算を確保するために、削減対象者の過去12か月の詳細な賃金データ、勤務年数、入社時期、未消化有給休暇日数などを含む情報を詳細に確認し、整理しておく必要がある。
作業チームは、一般的に法務部や人事部などの社内人員と外部弁護士により結成されることが多い。そのうち、社内人員は主に従業員に関する情報の整理、経営陣との意思疎通、経済補償金の試算、人員削減の具体的なスケジュールの決定、その他の事務的な作業を担当し、外部弁護士は主に法律文書の起案、法的リスクと対策の分析、必要に応じて企業と従業員との協議・交渉への参加を担当する。
また、一度に大量の従業員との労働契約を解除することにより、従業員の不満を招き、ストライキ、業務懈怠、暴動、労働仲裁などの事件を惹起するおそれがある。このため、計画の策定時にはその対策を検討する必要があるほか、前述の事件が生じた場合には現地政府当局の協力を得られるよう、人員削減の実施前に現地の労働主管当局に報告を行うことも重要となる。
(2)注意事項
前述の最高院解釈の定めに照らし、合意解除の効力認定にあたっては、その内容が法律、行政法規の強制的な規定に違反せず、詐欺、脅迫、又は当事者の弱みにつけ込むものではない、という2つの要件をいずれも満たさなければならない。このため、企業は合意解除案の合理性に細心の注意を払い、合意解除の契約を締結した後に従業員が詐欺、脅迫、又は弱みにつけ込まれたことを理由に仲裁や裁判所にこれらの契約の取消しを求めることがないよう、協議の過程において必要な証拠を残しておく必要がある。
また、合意解除では、通常、従業員との労働関係の解除のみならず、退職前後のあらゆる事項に関しても合意する必要がある。このため、退職前の権利と義務を全面的に整理のうえ確認し、退職後の義務の履行についても合意解除の契約に明記しなければならない。これまでの実務経験を踏まえると、通常、合意解除の契約は、①退職日、②賃金、社会保険料及び積立金の支給/納付終了期限、③経済補償金の金額、支払時期及び支払方法、④業務引継ぎの手配、⑤争議がない旨の条項、⑥競業制限の義務(必要な場合)及び守秘義務の履行がその最低限の内容となる。
合意解除には多くの利点があるものの、会社の用意する補償案を従業員が承諾しない限り、当然に合意には至らない。このため、経済補償金の金額のみならず、補償案の合理性、協議手続の統一性、従業員への説明や質疑応答の一貫性などにも細心の注意を払う必要がある。これまでの経験によると、合意解除案の策定と実行の過程のいずれも重要であり、労働法の専門性の確保と周到な手配が合意解除の成功率を向上させる。
2. 客観的な状況の重大な変化による労働契約の解除
「客観的な状況の重大な変化」については、労働関連法令に明確な定義がなく、その法的根拠は「労働契約法」40条の次の定めに求められる。
「次の各号に掲げる事由のいずれかに該当する場合、使用者は30日前までに労働者本人に書面形式で通知するか又は労働者に1か月分の賃金を追加で支払った後、労働契約を解除することができる……
(3)労働契約の締結時に拠り所とした客観的な状況に重大な変化が生じ、労働契約の履行が不可能になり、使用者と労働者との間で協議を経ても労働契約内容の変更について合意に達することができなかった場合」という定めである。
また、「客観的な状況」の認定基準については、「「労働法」の若干の条文に関する労働部の説明」(労弁発〔1994〕289号)26条の「不可抗力、又は企業の移転、合併、企業資産の譲渡など、労働契約の全部若しくは一部の条項を履行することができないその他の状況が生じた場合であって、本法第27条に列挙される客観的な状況(すなわち整理解雇に関わる事情)を除く」という規定を除き、多くの地域においては「客観的な状況」をより明確に定める地方の法令やガイドラインがない。そのため、労働仲裁や裁判における「客観的な状況の重大な変化」の適用に関する判断基準も、各地の司法機関ごとに異なる。特に地域を越えて事業を展開し、従業員を雇用している企業においては、この方法による人員削減の実施が不確定となる。
(1)事前準備
合意解除の方法と比べ、「客観的な状況の重大な変化」の適用はより複雑かつ不確定であるため、事前準備においては、上述の合意解除と同様の準備作業に加え、次に掲げる作業を行うことが推奨される。
まず、社内法務部及び外部弁護士は、企業の具体的な状況に基づき、「客観的な状況の重大な変化」の適用の可否、その実施に伴う法的リスクの有無及びリスクの低減策を慎重に検討する必要がある。
法令上、「客観的な状況の重大な変化」が適用可能な場合であっても、企業は直ちに労働契約を解除することはできず、まず労働契約の変更について従業員との協議を行わなければならない。実務上、従業員との協議の内容に応じて次のいずれかの結果が生じる。
1)企業と従業員が労働契約の内容変更について合意すること。
この場合、従来の労働契約が変更され、労使関係が継続する。すなわち、企業は労働契約を解除することができない。
2)企業と従業員が合意に達しないこと。
この場合、企業は法律に従って従業員に経済補償金を支払ったうえで労使関係を解消する。
このため、企業においては、労働契約関係を解消する場合の経済補償金を試算するほか、労働契約の変更案(例えば、調整後の担当職務、勤務地、報酬待遇など)を用意する必要がある。この労働契約変更案は労働契約の解除の成否につながる重要性を有するため、実務上、慎重な検討と工夫が求められる。
さらに、「客観的な状況の重大な変化」により労働契約を解除する過程での労働組合との意思疎通も必須である。企業が「客観的な状況の重大な変化」を事由として労働契約を解除する場合、これは使用者による一方的な解除に該当するため、「労働契約法」43条の定めにより、事前に労働組合に解除の理由を通知しなければならない。
(2)注意事項
まず、人員削減の対象者を特定する際、企業は次の点に特に注意を払う必要がある。「労働契約法」21条及び42条によると、労働者が次の各号に掲げる事由のいずれかに該当する場合、「客観的な状況の重大な変化」を理由に労働契約を解除してはならない。すなわち、①職業病の危険要素に触れる業務に従事した労働者に退職前の職業健康検査を行わず、又は職業病が疑われる病人で診断中若しくは医学観察期間にある場合、②当該使用者において職業病を患い、又は労働災害により負傷し、かつ労働能力の喪失若しくは一部喪失が確認された場合、③病を患い又は業務外の理由で負傷し、規定の医療期間内にある場合、④女性従業員が妊娠、出産、授乳期間にある場合、⑤当該使用者において勤続満15年以上で、かつ法定の定年退職年齢まで残り5年未満である場合、⑥従業員が試用期間中にある場合、である。
次に、前述したように、現在の司法実務においては「客観的な状況の重大な変化」の認定が地域ごとに異なる。例えば、上海と北京では、企業が経営方針の変更による組織調整を「客観的な状況の重大な変化」と認定できるかどうかについて、異なる観点を有しており、上海はこれを認め、北京はこれを否定する傾向がある。いずれにせよ、企業は、経費の削減や経営効率の向上などの社内経営方針による要因を事由として選択することを可能な限り避け、法令や政策の変化、外部環境の変化、企業合併などの予見不能な強い客観的な根拠のある外部的要因を事由とした方が無難である。また、「客観的な状況の重大な変化」は経営上の比較的重大な問題であり、社内において様々な経営管理上の調整を行う必要があると一般的に認識されているため、企業はその定款や社内規則に基づいて、株主会決議や董事会決議などの決議を行う必要がある点にも注意しなければならない。
最後に、労働契約の変更案について、上述のように、「客観的な状況の重大な変化」が成立する場合でも、企業は労働契約の変更案に関する従業員との協議を先行させなければならず、企業がこの協議をせずに直ちに労働契約を解除した場合には、司法機関により不当解雇と認定される。また、従業員と協議の内容にも特に注意を払う必要があり、近年の実務において、協議の必要性を認識する企業が増えている一方、協議の内容を誤るケースがしばしば見受けられ、「労働契約の解除に関する協議」、「経済補償金に関する協議」、「関連企業の面接機会の提供に関する協議」などがその最も典型的な例である。これらの協議は、法令上定められた「労働契約の変更に関する協議」ではないことから、司法機関により協議手続の未履行を理由として不当解雇と認定されるリスクが高い。また、労働者保護の観点から、司法機関は職位、勤務地、賃金待遇などの面から企業の提出した労働契約変更案の合理性も審査する傾向がある。このため、企業が用意する労働契約変更案は、従業員の能力、背景を考慮したうえ、誠意のある内容とする必要があり、合理的な理由なく労働者の賃金や福利厚生を引き下げるなどの変更は避けるべきである。
3. 整理解雇
3つの人員削減方法のうち、その実施に最も時間を要するのが整理解雇といわれる方法であり、手続上の要件も最も複雑である。その法的根拠たる「労働契約法」41条のとおり、「(使用者が)20人以上の人員削減、又は20人未満であるが企業の従業員総数の10パーセント以上を占める人員削減を行う場合、使用者は、30日前までに労働組合又は全従業員に対して状況を説明し、労働組合又は従業員の意見を聴取した後、人員削減計画を労働行政部門に届け出て、人員を削減することができる」。整理解雇の実施の要点は、労働行政部門に人員削減計画を報告する手続と、労働行政部門がその報告を受け入れうるかということにある。この報告手続の目的は企業が労働契約を任意に解除することを制限し、従業員の権利・利益を保護することのほか、整理解雇は一定規模の人数に及ぶため、実施前に労働行政部門がその合法性や適切性を監督することにある。
(1)事前準備
前出の計画の策定、経済補償金の試算、作業チームの結成、関係書類の作成などの準備作業のほか、法令上の要求により、準備作業の完了後、正式な実施の前に、企業は労働組合などへの状況説明、当局への計画報告を完了させる必要がある。
まず、準備段階において、企業は「労働契約法」41条に基づき、整理解雇の実施事由 (生産・経営が極めて困難となった場合、企業の生産転換、重大な技術革新又は経営方式の調整により労働契約を変更した後も人員削減の必要がある場合、その他労働契約の締結時に拠り所とした客観的な経済状況に重大な変化が生じ労働契約の履行が不可能となる場合)の有無について検討し、これが存すると判断したときは、その証明のため、企業破産法に基づく会社更生の裁定書、貸借対照表、会計監査報告書などの証明資料を準備する必要がある。
労働組合などへの状況説明について、企業は30日前までに労働組合又は全従業員に状況を説明し、労働組合又は従業員の意見を聴取することが法により求められている。注意すべきは、この説明は「客観的な状況の重大な変化」を事由とする場合の30日前までの通知とは本質的に異なり、賃金1か月分の追加支給による代替ができない点である。また、現行法で企業に求められているのは「説明+意見聴取」の手続であり、労働組合や全従業員との人員削減計画に関する合意の取得までは求められていない。このため、企業にとって難易度は高くないものの、その実施に向けて、書面による通知、現場での署名取付け、録音、ビデオ録画などの方法で有効な証拠を残すことが重要となる。
当局への計画報告において、企業が労働部門に提出する資料は地域ごとに異なり、特に整理解雇実施の法定事由に適合することを証明する資料に関する要求が異なる。通常、企業が労働組合や従業員に状況を説明し、意見を聴取した際の資料や記録、及び企業が策定した人員削減計画の提出も求められる。このため、資料の提出を前に、現地の労働行政部門とその具体的な要求についてあらかじめ確認しておくことが望まれる。
(2)注意事項
まず、人員削減の名簿を作成するにあたり、整理解雇を実施する場合においても、その対象となりうる範囲が制限されている。削減してはならない人員の範囲は前述の「客観的な状況の重大な変化」の場合と同じである。また、優先的に雇用を継続する人員の手配に特に注意が必要である。「労働契約法」41条の要求により、次に掲げる事項に該当する人員について、企業は優先的に雇用を継続しなければならない。①企業と比較的長期の有期労働契約を締結している場合、②企業と無期労働契約を締結している場合、③世帯に他の就業者がおらず扶養すべき老人又は未成年者がいる場合、である。すなわち、これらの従業員を整理解雇の対象にすることは禁止されていないが、これらの人員の解雇を極力回避することが求められている。
次に、労働組合又は従業員への計画説明と意見聴取にあたっては、騒ぎを起こしたり抗議活動を展開したりする想定外の状況や集団的事件が発生する可能性が高い。このため、企業においては、整理解雇の実施前に騒ぎなどが起きてしまった場合の対応策をあらかじめ準備し、警備体制を整えたうえで、説明に際しても従業員の心情に十分に配慮することが望まれる。また、現地の公安部門に事前に連絡のうえ、万が一現場で想定外の事件が発生した場合には公安部門が適時介入し、安全かつ秩序が保たれるよう、人員削減計画についてあらかじめ報告したうえ、その協力を要請しておく必要がある。
最後に、各地の労働部門は整理解雇の実施について慎重な姿勢を示すのが一般的である。整理解雇の実施例がない地域もあり、労働部門としては、整理解雇ではなく、合意解除の方法を提案する傾向が強い。このように、法令上は整理解雇の実施にあたって労働部門に届出を行えば足り、許可の取得は必要ないものの、実際のところは許可の取得に近いといえる。労働当局は、調和のとれた安定的な就労環境を維持し、従業員の利益を保護するために、整理解雇の適用事由をより厳格に解釈し、報告に際しての提出資料について、対象者が同意した旨を示す署名の提示や労働組合又は従業員代表大会の人員削減計画への同意の取得、直近3年間の赤字経営を証明する会計データの提出を求めるなど、厳しい要求を出す姿勢がうかがえる。したがって、整理解雇の実行可否を検討する際には、現地の労働主管部門との綿密な意思疎通を図り、その要求を十分に理解したうえで、計画の実行可否について慎重に検討する必要がある。
III. おわりに
景気後退の中、今後も人員削減の課題を避けられない企業が増えていくことが予想される。上述のように、人員削減の作業は、高度な法律的専門性のみならず、多方面からの配慮や入念な準備が求められ、その実施にあたっては、勢いに任せることなく、外部弁護士など専門家に意見を求め、正しい実施方法を選択して綿密な計画と実施案を策定し、社内はもちろん、弁護士や地元政府など各方面の力も集結して取り進めることが重要となる。これらの着実な遂行が人員削減の円滑かつ円満な完了を実現する。